鹿沼支局の玄関に1枚の号外が張られている。日付は2016年12月1日。「今宮神社祭の屋台行事」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことを報じたものだ。昨春、記者に転職し支局に配属された初日、真っ先に目にした。

 鹿沼市はさまざまな分野で市のPRをしている。木工、イチゴ、サツキ…。取材を通し、その魅力に触れてきたが、新型コロナウイルス禍でかなわなかったのが祭りの取材だ。今宮神社祭の屋台行事を含む「秋まつり」に加え、春の「さつき祭り」、各社寺で行われる例大祭。中止や規模の縮小が相次いだ。

 生子(いきこ)神社では赤ちゃんの健康を願う「泣き相撲」が中止になった。普段なら泣き声が響き渡る境内は静まり返り、神事のみが粛々と行われた。同神社の高瀬一男(たかせかずお)氏子総代代表は「残念ですが仕方ないですね」と優しく話すが、無念さが伝わる。

 今年こそは祭りに懸ける人々の熱い思い、人間ドラマを取材したい。支局の玄関を見るたびに強く思う。