「3D的な迫力」鈴木賢二の魅力、研究者語る 回顧展は21日まで

 県立美術館で回顧展が開かれている栃木市出身の芸術家鈴木賢二(すずきけんじ)(1906~87年)。賢二の個人史や作品を研究してきた「鈴木賢二研究会」の飯田晶夫(いいだあきお)会長=国学院栃木短大名誉教授=らにこれまでの研究や現在の関心事について聞いた。

 同会は97年、栃木市制60周年記念として開かれた「鈴木賢二展」を機に結成。現在は飯田会長や元県立美術館特別研究員で美術史家の竹山博彦(たけやまひろひこ)さんら約10人で活動している。

 これまでに賢二の年譜の作成や版画集の編集協力、長男徹(てつ)の展覧会開催などを行ってきた。

 竹山さんは「日本の版画は平面性が強いが、賢二はいわゆる3D的な迫力がある。油絵と比べても勝るとも劣らない」と説明する。

 飯田会長は、賢二が戦時中「右に振れ過ぎていた」ことが気になっている。東京美術学校在学中からプロレタリア美術運動に熱中した賢二は、戦時中に大東亜戦争美術展や陸軍美術展へ出品。戦後は弱者の立場に立って基地反対闘争など社会運動に関わる版画作品を制作した。「右に振れたことを『それはそれでいい』となる人もいるが、私はそこにこだわっている。そこに賢二の人間性が表れているのでは」と強調する。

 同会は現在、賢二が晩年に左手で描いた草花のスケッチについて調べている。展覧会場では、スケッチブックによだれの跡が残るほど懸命に描いた作品も展示されている。同会は「(草花のスケッチは)構図も非常に試行錯誤している。芸術家としての結晶が見られるのではないか」とも考えている。

 回顧展「没後30年 鈴木賢二展」は21日まで。