栃木県庁

 父親から虐待され児童養護施設に入所した長男(14)との面会を制限したのは違法などとして、両親が栃木県内の児童相談所(児相)を所管する県に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3日、宇都宮地裁であった。伊良原恵吾(いらはらけいご)裁判長は、虐待をしていない母親について「保護者として面会通信などを行う権利や法的利益を侵害した」と県側の対応を一部違法とし、慰謝料など15万円の支払いを命じた。父親の請求は棄却した。

 児相は2017年3月、両親の同意を得て当時小学生だった長男を施設に入所させたほか、児童福祉法に基づく行政指導として両親に面会や通信を制限。両親は18年7月に提訴した。

 判決で伊良原裁判長は、母親は親子関係を再構築するプログラム受講に積極的な姿勢に変化したことや、長男の母親に対する姿勢が軟化したことなどを重視。遅くとも18年5月中旬ごろからの行政指導は「違法」だったと判断した。

 一方、父親については「長男に虐待を想起させて精神的に不安定にさせ、親子関係の再統合を妨げる蓋然性(がいぜんせい)が高い」とし、行政指導の違法性を認めなかった。

 県庁で記者会見した原告代理人の高島惇(たかしまあつし)弁護士は「面会制限は全国的に常態化しているので価値ある判決。今後の運用が見直されてほしい」と指摘。県こども政策課は「コメントは差し控えたい」としている。

 「子ども虐待防止ネットワークとちぎ」の福田雅章(ふくだまさあき)代表(59)は「子どもと親が会うことは親子関係の再構築に重要。その意味で判決は妥当」とする一方、「児相は同居に際し最悪の事態を想定するので慎重になる気持ちは理解できる。虐待が繰り返されないよう、地域でサポートが受けられる仕組みが必要」とした。