緊急入院の新型コロナウイルス患者を搬送する医療スタッフ(自治医大付属病院提供、写真は一部加工しています)

自治医大付属病院の佐田病院長

新型コロナウイルスの重症患者の治療にあたる獨協医大病院の救命スタッフ(獨協医大病院提供、写真は一部加工しています)

獨協医大病院の窪田病院長

緊急入院の新型コロナウイルス患者を搬送する医療スタッフ(自治医大付属病院提供、写真は一部加工しています)
自治医大付属病院の佐田病院長 新型コロナウイルスの重症患者の治療にあたる獨協医大病院の救命スタッフ(獨協医大病院提供、写真は一部加工しています) 獨協医大病院の窪田病院長

 新型コロナウイルス感染者の拡大に伴い、重症患者を受け入れる県内病院の病床の稼働状況も切迫した。医療関係者は「年末年始の第3波は危機的な状況だった」「現場の負荷は極めて重かった」と振り返る。一方で症例を重ね「治療方法は確立されてきた」と自信ものぞく。重症者対応の中核を担う自治医大付属病院(下野市)の佐田尚宏(さたなおひろ)病院長(61)と獨協医大病院(壬生町)の窪田敬一(くぼたけいいち)病院長(64)に、1年間のコロナ対応を聞いた。

■病床稼働、認識にギャップ 自治医大付属病院・佐田尚宏氏

 人工呼吸器が必要な重症者や妊婦、合併症を伴う人など、対応が難しい感染者に特化して受け入れてきた自治医大付属病院。

 佐田病院長は「第1波、第2波には十分に対応できたが、第3波は危機的だった。病床確保に対する一般のイメージと、医療現場の負担とのギャップの解消が課題」と実感する。

 重症患者の病床数は「通常診療などを制限して最大限受け入れられる数」を意味する。対応には医師や看護師らを多く要し、負担も重い。依頼が来るのは、他の医療機関で診られない患者で断れない。「稼働していない病床数を『余裕』と捉えられてしまうと、現場は追い込まれる」と明かす。

 第3波の経験を元に、重症対応を15床まで増やした。人員を集中させる影響は通常診療に及び、手術数は月60件ほど減る。手術待ちの時間が延び、患者の不利益につながりかねない。

 感染者の2%が重症化すると想定し、他の病院の病床数を考慮すると、1週間の新規感染者を県内で300人以下に抑えることが対応の目安。第3波の時は900人を超えていた。

 「そこまで想定し、無理なく診られる体制が必要」。他の病院を巻き込んだ、医療スタッフの配置や病床の拡充を行政に期待する。

 大都市圏で緊急事態宣言が解除されれば、県内感染者が増加に転じる恐れもある。段階的でなく突然悪化する場合があり、誰が重症化するかを読み切れない。「重症者を減らすため、感染者の母数を減らす大切さを改めて分かってほしい」と訴えた。

■医療は経験、自信持ち対応 獨協医大病院・窪田敬一氏

 獨協医大病院は5床の集中治療室(ICU)と、重症から中等症以下に回復した患者用の16床のコロナ病棟がある。

 窪田病院長は「症例を積み重ね、治療方針も確立されてきた。医療は経験。経験するほど自信を持って対応できるようになる」と力を込める。

 第1波のさなかの昨年4月、病院長に就任した。「最初はどういう症状の患者か誰も診たことがなかった。伝え聞いてやっていくしかなかった」と初期の苦悩を振り返る。

 「肺が真っ白」。年末年始の感染急拡大期は、容体が急変し他の病院から移される重症患者が急増した。現場の負荷は「非常に重かった」と明かす。

 人工心肺装置「ECMO(エクモ)」の扱いに慣れた医師も多く、現状は「幸いほとんどの患者が回復している」。一方で慢性的に飽和状態が続く都内の病院の実情に触れ、「命の選別を迫られる状況も生まれかねない」と危機感を抱く。

 全国的にはコロナ患者以外の手術延期など支障が出ている病院もある。「当院は全ての医療を通常のペースでやっている。がん、心臓、頭の手術は先延ばしにできない」と強調する。

 飲食店の時短営業や県民の外出自粛要請は22日に解除されるが、「ある程度の人がワクチンを打つようになるまでは自粛を続けた方がいい」と受け止める。「ワクチンには一定率で副反応がある。メリットとデメリットを理解した上で、受けるかどうかを判断してほしい」