1月20日にあった米大統領の就任式。通常は新旧の大統領が連邦議会議事堂で肩を並べ、正午きっかりに「核のボタン」が引き継がれる▼しかし今回、去りゆくトランプ氏は就任式欠席を決めた。「ボタンの引き継ぎは大丈夫なのか…」。一抹の不安が拭えなかった▼ボタンと呼ばれるが、実際は「フットボール」の通称で知られる黒い革のかばんである。中には、核ミサイル発射時の暗号や核作戦計画の情報、発射命令伝達に使う通信機器が入っているという▼神をも恐れぬ振る舞いで知られた「異形の大統領」。そんなトランプ氏をも神妙にさせる「核のボタン」と強大な核戦力。専門家によると「フットボール」は副大統領用のものや、正・副大統領が同時に死亡した場合に備えた予備が存在する▼トランプ氏と共にフロリダへ旅立った黒いかばんが20日正午にお役目を終えるや否や、新大統領バイデン氏の手元にある「フットボール」が作動し始めたとみられる。よもや不測の事態は起きないだろうと思いながらも、ついつい心配してしまった▼それにしても恐ろしいのは、地球を何度も破壊できる核兵器の使用権限を、「ボタンの主」である歴代米大統領が70年近く、握り続けてきた歴史的な事実だ。過去には酒乱の大統領もいた。そろそろ見直すのが、地球と人類のためだろう。