益子町が茨城県笠間市と共同申請し認定された日本遺産「かさましこ ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」。ストーリーの主要な構成文化財とともに、地域資源の魅力などを紹介する。

代表作の一つとされる「萃瓷練上大壺」(1995年作、手前)などが展示されている「松井康成と原清展」

 色の異なる土を重ね合わせたり、練り合わせたりして文様のある素地土を作り成形する「練上(ねりあげ)」。伝統技法を継承しつつ、ひびや亀裂を豊かな表現へと転換させた「嘯裂(しょうれつ)」や「萃瓷(すいじ)」、硬質な輝きを放つ「玻璃光(はりこう)」といった独自の技術を晩年まで追求した。

Web写真館に別カットの写真

 人間国宝の陶芸家であり、浄土宗「月崇寺(げっそうじ)」(笠間市笠間)の第23代住職でもあった松井康成(まついこうせい)さん(1927~2003年)。独創的で芸術性の高い作品は、優れた色彩でも魅了する。

 「ファッション誌に掲載された三宅一生(みやけいっせい)さんのカラフルな服の写真を私に見せ、『色の比率を調べて』と頼む。色使いの参考にしたのでしょう」。住職と陶芸を継いだ長男康陽(こうよう)さん(58)が懐かしそうに振り返った。

 松井康成さんと人間国宝の陶芸家原清(はらきよし)さん(1936年~)の作品展が茨城県陶芸美術館で開催中だ。主任学芸主事の岩井基生(いわいもとき)さん(39)は「現代陶芸史に確かな足跡を残した松井さん。その進取の精神は、かさましこの作家たちに受け継がれている」と語る。

メモ 茨城県陶芸美術館は笠間市笠間2345。「松井康成と原清展」は3月21日まで。月曜休館。観覧料は一般520円など。(問)美術館0296・70・0011。

ミニ知識 松井康成さんは長野県北佐久郡生まれ。戦争疎開で父の生地だった笠間の地を踏み縁となる。茨城県陶芸美術館は松井さんの作品約330点を所蔵。このうち嘯裂や玻璃光などの代表作のほか、日用品の茶わんや急須、茶器といった計約55点を「松井康成と原清展」で展示している。