閉店した店内から食器などを運び出す鶴見さん=12日午前、真岡市大谷本町

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で事業者の苦境が続いている。依然として収束が見通せない中、「傷が浅いうちに」と店をたたんだ飲食業者もいる。また、ラーメン店などを展開する企業は「逆に今がチャンス」と店舗の業態転換に取り組んで活路を見いだそうと奮闘している。

 12日午前9時すぎ。電気が止まった店内から食器類や冷凍庫などが次々と運び出され、トラックの荷台に積まれていく。真岡市大谷本町の焼き肉店「真岡闇市」が1月、14年間の歴史に幕を下ろした。「やっと理想の店になってきたところなのに」。店主の鶴見義治(つるみよしはる)さん(64)は無念さをにじませた。

 5年ほど前に松阪牛の正規指定販売店となった。一頭丸ごと仕入れて、希少部位を提供する。競合店舗との違いを打ち出したことで、客の支持を集めてきた。

 順調だった経営はコロナで激変した。国の緊急事態宣言が初めて発令された昨年4月の売り上げは前年比で7割減。国の補助金を活用したドライブスルーによる弁当販売などで9月には前年並みまで回復したが、11月に入ってからの「第3波」が引き金となり閉店を決意した。「もし『第4波』が来たら、今度こそ持ちこたえられない」。現在再起への道を模索している。

 一方で、コロナ禍を契機に事業展開の見直しを進める企業もある。

 焼いた石鍋でスープを沸騰させて提供するのが特徴の「石焼らーめん火山」。運営する宇都宮市城南1丁目のBLOOM(ブルーム)は今月、県内外7店舗の「火山」のうち県内2店舗を牛タン専門店とみそラーメン店に転換した。

 コロナ禍で売り上げが半減した「火山」に対し、既存の牛タン店は自治体などが発行するプレミアム付き飲食券の利用が多く、3割減にとどまった。古山智(ふるやまとも)最高経営責任者(CEO)は「『火山』はファンが多いが、業態として疲弊している。コロナを機に、新規の客が増えた牛タンとみそラーメンを新しい柱に据えたい」と話す。

 家族連れの割合が減るなど、飲食業にとって厳しい状況は今後も続くと見立てる。閉業の増加で、人材や物件が流動的になると予測する。「おいしいと信じる料理を多くの人に届けられるよう店舗拡大にも挑みたい」と強調した。