皇位継承の重要祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」は、占いによって選定された悠紀(ゆき)・主基(すき)地方が神々に供える新穀を納める。令和の大嘗祭で、本県は悠紀地方に初めて選ばれた▼開催中の県立博物館の特別展示「令和の御大礼-悠紀地方に選ばれた栃木」で、本県の四季と名所が描かれた「悠紀地方風俗(ふぞく)歌屏風(うたびょうぶ)」を見ることができる。縦2・4メートル、横4メートルと大型で、見る者を圧倒する▼一昨年11月、皇居・宮殿で行われた大嘗祭の祝宴「大饗の儀」で、天皇、皇后両陛下の脇に並べられたものだ。院展の開幕式などで度々来県している、日本美術院理事長の田渕俊夫(たぶちとしお)さんが制作した。県内各地を訪ね、構想を練った▼春夏秋冬に合わせて那須烏山市の「龍門の滝と桜」や那須町などの「那須連山に那珂川」、佐野市などの「三毳山(みかもやま)周辺の田園風景」、「日光戦場ケ原・小田代原・男体山」が画題となっている。宅配便の車などが描き込まれ思わず頬が緩む▼本県の魅力が詰まった屏風を、多くの県民に見てもらいたいとの思いで特別展示の準備が始まったという。大嘗祭は、国民の参画と奉仕が重要な基盤との説がある。高根沢町産の「とちぎの星」が納められ、屏風が新作されたことなどからも納得できる▼県内での展示はおそらく今回が最初で最後。宮内庁の名品も公開している。この機を見逃せない。