コロナ禍で、離れて暮らす家族となかなか会えないという加藤さん。家で1人で過ごす時間が増えた=15日午前、宇都宮市東刑部町

 新型コロナウイルス感染者の栃木県内初確認から間もなく1年。継続して感染対策が求められる中、ある高齢者は離れて暮らす子や孫と会えない日々が続く。子ども食堂の活動は制限され、地域伝統の祭りは中止に。未曽有の感染拡大は、人と人とのつながりの在り方を大きく変えた。

 「食事しながら人とおしゃべりがしたい。普通と思っていた生活がいかに幸せか思い知った」

 宇都宮市東刑部町、加藤昌子(かとうまさこ)さん(79)は、県外に住む娘や孫らと会えなくなり1年ほどになる。今年の正月はテレビ電話で顔を合わせたが「やっぱり会って話したい」。通っていた近所の体操教室が中止となるなど、この1年で人との関わりは確実に減った。

 コロナ禍は子どもの居場所にも影響を与えた。小山市内の子ども食堂「笑光(えこう)」。2017年11月から月2回、市民交流センターを会場に低料金でご飯を振る舞ってきた。しかし昨年は緊急事態宣言の影響で会場が閉館に。活動ができなくなった。

 昨年6月からは、弁当の無料配布に切り替えた。会場近くの公園で遊ぶ子どもたちに配るなど、少しでも孤食を減らす工夫をする。食堂を運営するNPO法人「笑光」の中山麗美(なかやまれみ)理事長は「子どもたちが待っている。だから形を変えてでも何とかやる」と前を向く。

 昨年、中止を余儀なくされた那須烏山市の「山あげ祭」。450年以上の歴史があり、住民同士のつながりの面でも大きな意味を持つ。

 「山あげ祭があることで地元の人たちは顔を合わせる機会が増える」。今年の当番を任されている日野町若衆団筆頭世話人の黒須正明(くろすまさあき)さん(41)はこう話す。野外舞台の背景となる「はりか山」製作を地域住民の協力を得て行うなど、準備段階でも人々の交流の場となっている。

 感染拡大の影響で懸念される、人や地域とのつながりの希薄化。黒須さんは「山あげ祭は1回なくなっただけ。地域のつながりが弱くなることはないと思う」と力強く語った。