マスク姿で通勤や通学をする人たち=15日午前7時35分、JR宇都宮駅

 栃木県内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから、22日で1年が経過する。未知のウイルスは瞬く間に拡散し、私たちの社会や暮らしは大きく変容した。信用調査会社の調査によると、全国に緊急事態宣言が発令されていた昨年4月下旬から5月上旬にかけ、テレワーク(在宅勤務)を実施した県内企業は約4割に上ったという。道を行く誰もがマスクで顔を覆い、お互いの距離を常に意識することが求められた1年。閉塞(へいそく)感が本県を覆い、心の距離をも遠ざけた。

 15日早朝、JR宇都宮駅。人の波が出口に向かって進んでいく。見渡す限り、すべての人がマスクを着用している。この1年間で見慣れた景色となったが、それまで想像もしないような事態が現実となったことを如実に表していた。

 3密(密閉、密集、密接)がクラスター(感染者集団)の発生原因とされ、ソーシャルディスタンス(社会的距離)という言葉が定着した。新しい生活様式の導入は感染防止のために不可欠だが、人の絆を揺るがす結果になった。

 鹿沼市で1人暮らしをする佐藤茂子(さとうしげこ)さん(87)は「人に会わないと、夜ふと寂しくなる時がある」と話す。毎日のように行っていた市内の高齢者福祉センターは現在、新型コロナの影響で休館中。そこで知人と会い、カラオケや温泉を楽しむのが日常だった。

 本県に2度発令された緊急事態宣言では、働き方の改革も求められた。東京商工リサーチ宇都宮支店の調査によると、昨年4月23~5月12日の間、在宅勤務を「実施している」と答えた企業は36.95%(295社のうち109社)に上った。

 一方で、今年1月5~14日の調査では、在宅勤務実施率が14.05%(185社のうち26社)だった。担当者は「本県の特徴は製造業や建設業が多く、物理的に難しい面もあるのではないか。首都圏と比べると温度差はある」と冷静に受け止める。

 今月に入り、県内の新規感染者数は落ち着きを見せつつある。だが、自由に外出し、大切な人と心ゆくまで触れ合うといった当たり前の営みは回復できていない。コミュニティーの集まりを大切にしていた宇都宮市の高齢女性は思わずつぶやいた。「早く自由な生活がしたい」