益子町が茨城県笠間市と共同申請し認定された日本遺産「かさましこ ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」。ストーリーの主要な構成文化財とともに、地域資源の魅力などを紹介する。

「柿青釉白格子描大鉢」(右奥)について語る濱田友緒さん

流し掛けの線が特徴的な濱田庄司の作品「柿青釉白格子描大鉢」

「柿青釉白格子描大鉢」(右奥)について語る濱田友緒さん 流し掛けの線が特徴的な濱田庄司の作品「柿青釉白格子描大鉢」

 ひんやりとした空気に包まれた濱田庄司(はまだしょうじ)記念益子参考館の大谷石蔵。展示品の「柿青釉白格子描大鉢(かきあおゆうしろこうしがきおおばち)」に描かれた線の独特な曲線には人間味や温かみが感じられる。

Web写真館に別カットの写真

 益子焼中興の祖、人間国宝濱田庄司(1894~1978年)。曲線は、ひしゃくですくった釉薬(ゆうやく)を掛ける濱田の代表的技法「流し掛け」をによるものだ。濱田の孫で参考館長の濱田友緒(ともお)さん(54)は「一本一本の線に個性があり、芸術性が宿っている」と解説する。

 益子焼の陶祖大塚啓三郎(おおつかけいざぶろう)が根古屋(ねごや)窯を構えて以来、陶工たちの手で日用品が作られてきた。伝統を土台に濱田は独自の表現で芸術性を高め、手仕事に宿る美を見いだす民芸運動とともに益子焼が広く知られるようになる。

 濱田が愛用した参考館の大登り窯で2018年、笠間の作家も参加した「登り窯復活プロジェクト」が行われた。友緒さんは「来年にはまた開催できるよう、新型コロナウイルスの状況を踏まえ関係者と協議を進めたい」と意欲を語った。

メモ 濱田庄司記念益子参考館は益子町益子3388。午前9時半~午後5時(入館は4時半まで)。月曜休館。(問)0285・72・5300。

ミニ知識 濱田庄司は東京高等工業学校在学中に師の板谷波山宅で山水土瓶を見て益子を知った。渡英後、自然の中での生活や仕事を求め、益子に移り住んだ。柿青釉白格子描大鉢や登り窯は町指定文化財。敷地内には県指定文化財の上台なども建つ。