日々、大量の記事に接する仕事柄、仕事を離れると、長時間の読書は正直、目が疲れて気力が持続しない。

 時代は新型コロナウイルス禍。休日の外出は気後れし、ステイホーム生活で結局は読書で過ごす時間が増えた。買って放って置いたり、読みかけの書籍に目を通した。

 その中でもひさしぶりに読み直した「大衆の反逆」(1930年刊行)は、現代に通じる示唆があった。著者はスペインの哲学者ホセ・オルテガ・イ・ガセット。大衆とは今しか考えずに群衆化する多数派をいう。大衆の熱狂によって物事が動き、決まってしまう風潮に危機感を表した。

 オルテガは未来への進歩には、歴史を知ることだという。過去の経験や先人の知恵の積み重ねが現在であり、未来へとつながる。

 ウイルスとの闘いに揺れ動いたこの1年。政権は政策にとって不都合であっても、過去や現実を直視しなければならない。異なる意見にも謙虚に向き合い、修正と調整を柔軟に繰り返す政治が試されている。読書の最中、疲れた目を見開いて、そう考えた。