東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗(もりよしろう)会長が辞意を固めたと報じられた11日、栃木県内関係者からは「判断が遅い」「大会への思いが理解されていない」と厳しい声が上がった。識者は「辞任で幕引きではなく、共生社会の行方を誰もが考え直すきっかけにすべきだ」と指摘した。

 2008年北京、12年ロンドンのパラリンピックに出場したシッティングバレー元日本代表で、今回の本県聖火ランナーを務める金田典子(かねだのりこ)さん(56)=日光市=は、発言から8日がたっての森氏の判断に「遅いと思う」と、ぴしゃり。

 県外の聖火ランナーやボランティアの相次ぐ辞退にも心を痛める。自身が出場した大会では「多くのボランティアが国際交流や平和への強い情熱で大会を支えた」とし、「本番が近づく中でのボランティアの辞退を(森氏らは)重く受け止めるべきだ」と強調した。

 東京大会を「共生社会を前に進める契機に」と捉えてきた県障害者スポーツ協会の小金沢茂(こがねざわしげる)事務局長補佐(52)は「関係者は『願いが理解されていないのか』と悲しんでいるはず」と話し、「五輪、パラは関係者が同じ方向を向くことが大切。社会を変えていくためにも、次のリーダーの下、大会を成功に導いてほしい」と願う。

 森氏の発言を「日本の男女共同参画が進まない理由を改めて海外に知らしめた」と評するのは宇都宮大男女共同参画推進室の川面充子(かわづらみつこ)特任助教(54)。「背景にあるのが性別に関する根拠のない思い込み。森氏の発言は世代的な問題ではなく、日本の現状を映した問題と捉え、人権や多様性を皆で考えるきっかけにする必要がある」と指摘する。

 1カ月半後に迫った聖火リレーなどの準備を進める県。現時点では森氏の発言に関し、県推薦ランナーやボランティアに辞退の動きはないという。とちぎブランド戦略室の担当者は「機運醸成に悪影響なのは事実」としつつ「組織委のトップが代わっても、地元を向いてやるべきことをぶれずにやるだけ」と冷静に受け止めた。