アニメ映画「劇場版『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』無限列車編」(原作・吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さん)が大ヒットしている。興行収入は国内で上映された映画として「千と千尋の神隠し」(宮崎駿(みやざき・はやお)監督)を抜いて歴代1位となった▼映画の公開に先だって会員制交流サイト(SNS)で急激に情報が広がった。だが、新型コロナウイルス禍、弱い人間が力を合わせて強い鬼と戦うストーリーが共感を呼んだのもヒットの大きな要因だろう▼大正時代、人を食う鬼に家族を殺された主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)は、鬼と化した妹を人間に戻すため「鬼殺隊」の仲間と力を合わせて残虐な鬼と戦う▼分かりやすい「鬼退治」だが、炭治郎は元は人間だった鬼の不幸をも哀れむ。運が悪ければ、誰もが鬼になりかねない。コロナ感染者への差別などあってはならないと気付く。炭治郎と家族や仲間との固い絆、激闘の末、母に別れを告げて死んでゆくリーダーの姿に観客は涙する▼漫画はアジアや欧米、中南米など33の国・地域で出版されて高い人気を呼んだ。映画は台湾や香港、タイなどでヒットし、中国のネットでも早期公開を求める投稿が相次ぐ▼鬼は大震災、豪雨など人類を苦しめる全ての「自然の猛威」をも思い起こさせる。映画を見た世界の人々がコロナや温暖化対策など地球規模の課題で国際協力を深めるよう願いたい。