県内のキャッシュカード詐欺盗被害

 特殊詐欺の一種で、キャッシュカードを別のカード類とすり替えて盗む「キャッシュカード詐欺盗」の被害が2020年は前年比31件増の82件に上り、統計が残る17年以降で最多だったことが10日、栃木県警のまとめで分かった。被害額も約1982万円増の約9424万円に急増。県警は金融機関などの対策をかいくぐるため、詐欺グループが直接、被害者に接触する手口に転換したとみて警戒を強めている。

 キャッシュカード詐欺盗は、警察官などをかたる人物が、偽造カードの捜査名目などで被害者宅を訪問。トランプなどが入った封筒と、キャッシュカード入り封筒をすり替える手口だ。県警によると、統計が残る17年の7件(被害額約1146万円)と比べると、20年は件数が10倍超、被害額は8倍超に増えた。

 県警はこれまで、犯罪に利用された口座の凍結や、金融機関などと連携した水際阻止で振り込み型の被害抑止に努めてきた。県警は、これらの対策を嫌った詐欺グループがキャッシュカードを直接回収する手口に移行したとみている。

 また高額報酬をうたい、会員制交流サイト(SNS)で受け取り役らを勧誘する投稿も横行しており、県警幹部は「犯罪行為に安易に加担する若者らがいくらでもいる」と危機感を募らせている。

 手口の巧妙化も進んだ。県警によると、詐欺グループが被害者宅に長時間の電話をかけている間に、受け取り役を訪問させたケースもあった。家族らに相談する余裕を与えないためという。

 20年の特殊詐欺の全体の認知件数は35件減の204件だった。被害額も約1億5千万円減少し、約3億1千万円。おれおれ詐欺など10種類に分類した手口別で増えたのは、キャッシュカード詐欺盗だけだった。県警は、詐欺グループの拠点や首謀者摘発に向けた捜査に力を入れるとともに、被害に遭わないための広報活動も強化している。