俳優の藤木直人(ふじきなおひと)さんは自分で釣ったサバを締めさばにして食べたところ、夜中に胃が痛くて目覚めた。病院に行き内視鏡でアニサキスを取ってもらったという▼昨年10月、テレビのバラエティー番組でその経緯を紹介し「皆さん気を付けてください」と呼び掛けた。体長2~3センチの寄生虫で白色の少し太い糸のように見える。サバやアジ、イカなどに寄生する▼そうした海産魚介類を生で食べることで、幼虫が胃壁や腸壁に入り込み、激しい痛みや吐き気が起きる。厚生労働省によると、2019年の食中毒発生件数の中で最も多かった。ここ3年ほど全国で増えている▼本県では年に1件発生するかどうかだったが、昨年は6件と急増した。さらに今年1月に2件連続で発生。県生活衛生課の担当者は「増えた原因は謎」と言う。販売店で買ったイワシの刺し身、家庭で調理したサンマの刺し身、飲食店のにぎりずしや海鮮丼などが原因食品だった▼生の魚介は好きなのだがちょっと遠慮したくなった。食酢や塩漬け、わさびなどでは死滅しない。目視で確認して幼虫を除去するほか、冷凍か加熱が有効である▼多発を受け同課は先日、食品事業者約1万人が加入する県食品衛生協会に注意喚起の文書を初めて送った。冬は魚に脂が乗っておいしい季節。正しく処理されたものを食したい。