11都府県に発令されていた緊急事態宣言が本県のみ解除された。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大前に一気に戻れるわけではなく、大人数での飲食やイベントは当面、我慢の日が続く▼地域の疫病退散を願う祭りや伝統芸能も、昨年から中止が相次ぐ。コロナ禍という災いを誰もが払いたいのに、かなわないのがもどかしい▼約20もの獅子舞が残る日光市の道の駅「日光街道ニコニコ本陣」がコロナ退散を祈願し、今年から動画投稿サイト「ユーチューブ」で同市平ケ崎の関白流平ケ崎獅子舞を配信している。道の駅の演者募集に獅子舞講中が応じ、駅併設のホールで収録した▼講中は一昨年に獅子頭を大修復した。お祝いを兼ねて昨年の祭りで使うはずだったが、例に漏れず中止に。収録が初のお披露目となった▼つややかな水鳥の羽をあしらい、色鮮やかによみがえった総桐の頭をかぶって勇壮に舞う獅子たち。現地に足を運ばなければ見られない獅子舞を自宅のパソコンで堪能した。祈りのかいあって、コロナが収束した後にはぜひ生で満喫したい▼かつて地域の絆を強め、数少ない娯楽だった伝統芸能はどこも、後継者不足に頭を抱える。会員制交流サイト(SNS)という新たな神器を手に、全国に発信して関心を呼び起こし、継承の危機という災いも退散させられるといい。