県立高で、女子生徒の制服にスラックスを導入する動きが広がっている。防寒や動きやすさなどの観点から取り入れるケースが多い。学校からは「男子はスラックス、女子はスカートという固定観念があった」といった声も上がる。導入へ向け準備を進める所もあり、女子の制服にスラックスの選択肢を設ける学校はさらに増えそうだ。
栃木県教委が全日制県立高59校のうち制服がない学校や男子校を除く53校を調べたところ、昨年5月末時点で全体の約6割を占める33校で女子がスラックスを選択できることが分かった。6月には、県議会で荒川政利(あらかわまさとし)県教育長が女子スラックスなど制服に選択肢を設けることを推奨する答弁をした。
宇都宮北高は、創立30周年記念事業として2011年度の入学生から制服を一新したのに合わせ、防寒などの観点から女子用のスラックスを取り入れた。
黒羽高は19年度に正式導入。それまで女子生徒は全員スカートを購入した上で希望者がスラックスを追加で買い求めていたが、同年度からはスラックスだけでも可能となった。
宇都宮清陵高は15年から、那須清峰高、宇都宮東高、宇都宮南高などは数年前から女子がスラックスを選べるようになった。足利女子高もスラックスを認めている。本年度から導入した鹿沼高の高瀬元久(たかせもとひさ)校長(58)は「寒い地域で特に自転車通学の生徒などは無理にスカートをはくことはないと思う」と説明する。
佐野高は今春から女子がスラックスを選べるようになるほか、小山高も準備を進めている。
寒さ対策としてスラックスをはいている鹿沼高1年横田陽(よこたひかり)さん(16)は「せっかくなら女子のスラックスがある学校がいいと思って高校を決めた部分もある。制服も自分の好きなものを選べたらいいと思う」と話した。
福田屋百貨店宇都宮店(宇都宮市今泉町)の学生服売り場では、昨年10月ごろから女子用スラックスの購入希望者が増えた。新型コロナウイルス感染対策として教室を換気していて寒いという理由から買う人が目立つという。担当者は「買われる方が急に増え、予想以上の受注になっている」と話した。