古い映画を見直して「おや?」と違和感を抱くことがある。作品が生み出された時代が違うし、文化背景が異なるので無理もないが▼20世紀初頭の米西部を描いたミュージカル「オクラホマ!」が一例。男女の恋のさや当てを描き、1955年に公開された。農場の娘ローリーと気ままなカウボーイのカーリーの恋物語。雇われ人のジャッドが絡んでローリーを奪い合う▼時代のせいだけではない違和感もある。それは“負け犬”の描き方だ。ジャッドはカーリーに小屋での孤独な暮らしをあざけられる。娘たちが作ったランチボックスを巡る競りでは村人たちがカーリーに金を貸して応援する▼恋敵に敗れたジャッドは自暴自棄になって幸せなカップルを襲うが、誤って自分を刺して命を落とす。村人たちはそろって「正当防衛だ」とカーリーを弁護。2人はめでたく結婚し、幕を閉じる▼トラブルは恋を燃え上がらせるというが、これではジャッドにあんまりだ。身の回りから「異物」を排除したがる心理が透けて見える▼米国で再演される舞台にはこうした点を見直したものがあるという。「オクラホマ!」への異議申し立ては、映画監督チャーリー・カウフマンの最新作「もう終わりにしよう。」にも見て取れる。多くは言わないが、負け犬目線で“ジャッドの心”を描いた佳作だ。