お昼時のオリオン通り。罰則なしでも多くの飲食店が時短要請に応じている=5日午後、宇都宮市江野町

 新型コロナウイルス対策の強化に向けた改正特別措置法と改正感染症法が成立し、13日に施行される。営業時間短縮の命令や入院措置の拒否などに科される過料の導入に、栃木県内の宿泊療養施設の担当者は「感染防止の機運が高まれば」と期待を寄せる。一方、苦境にあえぐ商店街関係者は「やむを得ない」と理解を示す半面、「多くの店が要請に応じているのに」と疑問を口にした。識者は「感染者の差別を助長しかねず、拙速」と私権制限を強化する今回の法改正を批判した。

 改正感染症法により、コロナ感染者の入院拒否や入院先からの逃走などが過料の対象となる。軽症者らを受け入れる宿泊療養施設「ホテル丸治」(宇都宮市泉町)の福田治久(ふくだはるひさ)専務(47)は「(罰則も)致し方ないのかな」と受け止める。

 他県では宿泊療養施設から療養者が無断外出したケースがある。ホテル丸治でも「家に帰りたい」などの理由で外に出たがる人がいるといい、「(改正法が)抑止力になるのでは。これを機にみんなが感染防止の気持ちをより強く持ってもらえたら」と期待した。

 「感染収束には過料もやむを得ないが、県内の飲食店はどこも時短要請に応じている。東京など大都市圏ならともかく、地方にまで罰則は必要なのかとも思う」。改正特別措置法により、時短に応じない事業者への過料も新設されたことに対し、宇都宮オリオン通り商店街振興組合の長島俊夫(ながしまとしお)理事長(72)は理解を示しつつ、割り切れなさを口にする。

 罰則を導入する一方、事業者への財政支援も義務化された。長島さんによると、緊急事態宣言の再発令後、オリオン通りの通行量は前年の5~6割に減っているといい、「要請は飲食店だけでなく全ての事業者に影響する。今後も要請と補償はセットで考えてほしい」と強調した。

 「特に改正感染症法の問題点が大きい」とは清水潤(しみずじゅん)白鴎大准教授(38)=憲法学。「感染症を巡る差別の歴史を踏まえ、成立したのが感染症法。入院や調査の拒否に過料を科すのは感染者のバッシングに公的なお墨付きを与えたのと同じ。感染者の差別防止という法の趣旨に反する」と説く。

 入院や調査の強制は人身の自由、治療の自己決定権、プライバシー権といった人権を制約するとし「処罰は見せしめ的に行われる。パチンコや風俗店など(行政が)やりやすい業種に狙いを定めて過料を科すことも考えられ、公平な適用がなされるかを注視すべきだ」と、法の運用を市民が監視する重要性を指摘した。