「気の緩みがある」

 新型コロナウイルスの感染拡大に関して何度か耳にする言葉が、どうにも引っ掛かる。

 正論ではある。だが、感染者や感染者を出した事業者の責任がまず問われるべきという、誤った意味合いで伝わってしまわないか。感染によって既に疲弊している上に、心情的に反論できない当事者には酷な言い方だと思う。

 手洗いや消毒、マスクの着用などの対応が不十分だったのかもしれない。しかし、誰にでも事情があり、不可抗力があり、対応能力や緊張感の持続力には個人差と限界がある。

 みんなそれぞれ、不完全かもしれないが、できる範囲で努力をしている。その前提を欠いた思考は、いわゆる「自粛警察」の横行、中傷や風評被害、過剰な自己責任論と地続きなのではないか。

 特に、冒頭の言葉が行政トップからも聞かれた点が気になる。上から目線の叱咤(しった)なら御免被る。信頼と共感をベースに、多くの市民を後押しする施策こそ期待したい。