小さな命を救うことはできなかったのか-。生後間もない男児が、母親の高校生に殺害されたとされる事件。栃木県内の関係者からは「防げた事件」と落胆の声が漏れ、「妊娠の不安を受け止める大人が周囲にいなかったのではないか」とみる識者もいる。子どもの変化に気づき支える社会のあり方が問われている。

 県警の捜査で、この生徒は妊婦健診を受診していなかった恐れもあるという。

 芳賀赤十字病院の渡辺尚(わたなべたかし)副院長兼産婦人科主任部長は「健診で発見できていれば、事件に至らなかったかもしれない」とみている。

 妊娠22週(おおむね6カ月)までなら中絶も選択肢の一つで、その期間を過ぎても、医療機関が児童相談所や市町につなぎ、乳児を里親に託すこともできるという。渡辺副院長は「妊娠が正常に経過する保証はない。今回は正常に経過したとみられるが、健診は命に関わるリスクをキャッチすることもできる」とした。

 元高校教諭でNPO法人県カウンセリング協会の丸山隆(まるやまたかし)理事長は「高校生の中には退学が頭をよぎったりして、『太っただけ』と妊娠を隠してしまうことがある」と説明。周囲がそういった子どもを支える必要性を訴える。

 思春期は男女交際への関心が高まる時期。母親が娘の生理などを把握することなども、兆候に気付く手段だという。「一緒に生活していれば分かることもある。妊娠に限らず、子どもの変化に大人が気付き、受け止めて上げることが必要だ」としている。