夕日を受けて輝く松浦さんが描いた「招福鮎図」

一昨年の台風19号で流失した松浦さん制作の木彫りの黄金の鮎

夕日を受けて輝く松浦さんが描いた「招福鮎図」 一昨年の台風19号で流失した松浦さん制作の木彫りの黄金の鮎

 【大田原】黒羽向町の「黒羽観光やな」の飲食施設南面の壁に、夕日を浴びて輝く鮎(あゆ)の絵「招福鮎図」がお目見えした。一昨年の台風19号の水害で大打撃を受け、屋外にあった約2メートルの木彫りの「黄金の鮎」2匹も流失。再起をかけた今季の営業は、新型コロナウイルスの影響で客数が前年比で4割減った。そんな中、黒羽観光簗漁業組合常務理事の松浦節(まつうらみさお)さん(79)は「来季は少しでも多くの方が来てくれるよう福を願って描いた」と話す。

 客に福を持ち帰ってもらおうと、松浦さんは2018と19年の春にケヤキの丸太で1・85メートルと2・1メートルの木彫りの鮎を各1匹制作。「那珂川を元気に上る鮎と一緒に機運も上昇するイメージで黄金色にした」。2匹の鮎は「御利益がありそう」「インスタ映えする」などと客の注目を集めていた。

 だが、2019年10月の台風19号で河原のやなは土砂に埋まり、飲食施設は壊滅的な被害を受けた。黄金の鮎も流失した。

 従業員やボランティアの協力で復旧が進み、昨年5月に今季の営業を始める予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、いったん開業を断念。その後、7月1日に2カ月遅れで開業したが、シーズン終了の11月3日までの来客数は1万5565人と前年比4割減となった。

 松浦さんは「やなを愛してくれた東京などの方や水害を心配してくれた地域の方が来てくれた」と感謝する。その上で「コロナが収まらないと団体客が来ない。招福の鮎を描くことでコロナが収まり、絵にあやかろうとお客に少しでも来てもらえれば」と、今年の仕事始め以降、約1週間かけて約1・8メートルの大きさの鮎の絵を完成させた。

 鮎のひれや尾などは金色のペンキを使い、夕日が差すと金色に輝く。松浦さんは「この絵の鮎が那珂川の強い流れを上り、幸せの園にやって来た幸福の使者になれば、うれしい」と来季の幸運を期待している。