産後うつのサインの例

「産後うつを防ぐには母親をサポートすることが大切」と呼び掛ける岩本さん(左)

産後うつのサインの例 「産後うつを防ぐには母親をサポートすることが大切」と呼び掛ける岩本さん(左)

 新型コロナウイルスの影響で人と触れ合うことや外出する機会が減り、出産後に孤独感が高まった母親のメンタルヘルスへの影響が懸念されている。産後うつゼロを目指す活動を行っている「乳幼児子育てサポート協会」(東京都)のインストラクター岩本恵利(いわもとえり)さん(栃木県日光市在住)に、コロナ禍での産後うつのサインなどについて聞いた。

 岩本さん自身も昨年2月に三男を出産し、コロナ禍の中で育児をしている。新型コロナの感染が怖く「家族以外の人と接したくない」と産後は保健師らによる「赤ちゃん訪問」を断ったことも。「見えないウイルスが怖く、育児で葛藤する場面がある」とコロナ禍前との違いを打ち明ける。

 出産は女性にとって命がけで人生の一大イベント。産後はホルモンバランスの波があり、理由もなく急に涙が出たり、イライラしたりすることも多い。また、頻回の授乳などが慢性的な睡眠不足による疲労の蓄積を招き、正常な判断ができず、産後うつになりやすくなるという。

 コロナ禍によって、産後の精神状態はより不安定になりやすくなっている。立ち会い出産や赤ちゃんの健診、訪問が制限され、ママ友づくりが思うようにできないなど、思い描いていた出産や育児ができず、悔いや心残りが生まれる可能性があるという。岩本さんは「これらが産後うつの引き金に十分になり得る」と指摘する。

 「産後うつは命を失う可能性もある病気。普通の母親がいつなってもおかしくない、誰にでもなり得るということを知ってほしい。問題なのは母親本人がうつだと気付かないこと。周りの人も(母親が)笑っているから大丈夫と思わないでほしい」と訴える。

 産後うつは未然に防ぐことが重要。周りの人ができることは、うつのサインに気付くことだ。サインは、不眠や寝てもすぐに起きてしまう、急に涙が出る、食欲がない、子どもがかわいいと思えない、「駄目な母親だ」「こんな私のところに産まれてきてかわいそう」など過剰に自分を責める、人に会いたくない-などがあるという。

 産後の回復具合は人それぞれ。周囲の人が「床上げしたから大丈夫」と一方的に言うのは厳禁だという。そして母親を否定せず、頑張りを認める声掛けをし、休む時間を確保してあげることで、母親の精神状態も落ち着いてくる。

 母親を休ませる時、隣で赤ちゃんが寝ていると母親は気になって熟睡できないため、たまに一人で寝られる環境をつくることが大切だという。

 「周囲の人はかわいい赤ちゃんに目が行きがちになるが、母親にもっと注視してほしい。もし産後うつが疑われたら、早めに専門の病院へ」とアドバイスする。