昨年12月、英国で始まった新型コロナウイルス感染症のワクチン接種。第1号となった高齢女性が接種する様子は大きく報じられ、英当局は「コロナ禍の終わりの始まり」と宣言した。

 この報道で思い出されたのは、約10年前に登場した子宮頸(けい)がんワクチンだ。がんを予防できる画期的なワクチンとして積極的な接種が勧められ、県内でも市町が相次いで助成制度を設けた。しかし、その後、接種を受けた少女たちが体調不良を訴える事例が相次ぎ、国と製薬会社に損害賠償を求める訴訟にまで発展した。

 下野新聞は4年前、この問題を端緒に「ワクチン」の連載をしたことがある。専門家への取材を重ねたが、ワクチンの有効性や副反応への見解は二極化した。ワクチンと向き合う難しさを痛感しながら、連載の締めくくりで「行政側の正しい情報提供」と「市民が主体的に判断する必要性」を提言した。

 間もなく国内でも新型コロナのワクチン接種が始まる。命を守る手段として新たに生まれた選択肢。国や自治体が正確な情報を示し、それを基に一人一人が判断していかなければならない。