新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、地元宇都宮大の個別学力検査の中止が21日、明らかになった。大学入学共通テストを終え、受験生が志望大学への出願を目前にしている時期。生徒の努力を間近で見ている学習塾や各高校の関係者からは決定への戸惑いや疑問のほか、進路指導への影響を懸念する声が上がった。
宇都宮市内の学習塾で高校3年生を担当する男性(51)は「中止が分かっていれば志望者は共通テストに絞って対策ができた。それを今になって個別学力検査を中止するのはルール違反では」と憤りを隠せない。他大学では個別学力検査の中止を早い段階で決めたところもあったという。「宇大志望者にはあまりにも気の毒。コロナ禍に翻弄(ほんろう)され、生徒の負担は増すばかりだ」と志望者の個別学力検査対策に費やした時間と労力を思いやった。
毎年20人前後が宇都宮大に進学する石橋高の担当教諭は「生徒は入試を最後まで諦めずに頑張り抜くという決意を持ち続けるからこそ、終盤に一気に学力が伸びる。個別学力検査があった方がありがたいのは確か」と残念がる。一方で「コロナ感染の現状を踏まえ、大学側も苦慮した上での結論だろう」とも。
「受験生は当然個別学力検査のことも考えて勉強してきた。ただ、コロナの現状や出願前の中止の決定であることを考えれば受け入れるしかない」。宇都宮東高の外舘孝(とだてたかし)教頭は一定の理解を示し、今後、細かな進路指導に力を入れる考えだ。
栃木高の長谷川剛(はせがわたけし)教頭は「仕方のない側面もあるが、ほかの国立大で昨年夏に中止が決まった例とは異なり、共通テスト後なので驚いている」とし、「今後、ほかの大学の状況も細かく情報収集する必要がある」と影響を注視している。