「奨学金は将来の選択肢を増やしてくれた」と話す山本さん=下野新聞社

 病気や災害などで親を亡くした子どもの進学を支える「あしなが育英会」(東京)の奨学生で宇都宮大教育学部2年山本有衣子(やまもとゆいこ)さん(20)=栃木市=は2月8日まで、同会が設けたクラウドファンディング(CF)の募金活動に取り組んでいる。新型コロナウイルスの影響で例年のような街頭募金ができない中、ネットを通じた支援に望みを託し、「奨学生の存在を忘れずにいてもらえる機会にしたい」と協力を呼び掛けている。  

 山本さんは中学2年の時、当時67歳の父を病気で失った。夜、突然自宅で倒れ、その晩のうちに旅立った。突然の別れに心が追いつかず、病院から戻った母が一睡もしない様子に「お父さん、亡くなったんだ」と感じた。

 人と話すことが大好きで、大勢の友人に慕われた父。よく一緒にリビングでテレビのバラエティー番組を見て、笑い合った。そんな思い出が胸をよぎっても、「お母さんを支えなきゃ」と3歳離れた姉と誓い合った。高校入学を機に、同会の奨学生となった。

 働きながら育ててくれている母を思い、卒業後は就職するか悩んだ。その中で中学生の時、勉強中に「教えるのうまいね」と友達に言われたことをきっかけに温めてきた教員の夢を志した。

 センター試験当日に熱を出し、別室で受験するハプニングを乗り越え、現役合格。ネットで合格を確認した時、母と「今までにないくらい」涙を流した。

 高校生の時から、毎年春と秋に行う奨学生による街頭募金活動に参加してきた。新型コロナの影響に伴う感染防止策として昨春から中止となり「感謝を伝えられる場がなくなってしまう」との思いは強い。同会の奨学生らでつくるあしなが学生募金事務局の本県ブロック代表でもあり、CF募金に加わることにした。

 CF募金は奨学生が自身の思いをしたためたネット上のページを個々に設け、数カ月間で任意の寄付をそれぞれが募る取り組み。現在、県内外の奨学生90人以上がページを開設しており、寄付する側は、各ページから寄付したり、メッセージを送信したりできる。

 山本さんの目標額は20万円。コロナ禍で募金額が減少すれば、将来の奨学金希望者の夢を絶つことにもつながりかねない。「奨学金は私の将来の選択肢を増やしてくれた存在。寄付への協力だけでなく、ふとした時に私たちの存在を思い起こしてもらえるような取り組みにしたい」

 CFの詳細は「あしながグローバル100チャレンジ」で検索。(問)あしなが育英会03・3221・0888。