恐喝容疑事件の構図

 男女5人のグループが昨年、栃木県内で故意に交通事故を起こし、示談金名目で現金を脅し取ったとされる恐喝事件。5人がさまざまな役割を演じ、被害者の男性が要求を飲まざるを得ない状況に追い込んだとみられることが、捜査関係者などへの取材で分かった。男性との恋愛感情を装う「女役」や事故の「当たり屋役」、「示談役」などが次々に登場する手口は、さながら“劇場型”。捜査関係者は「ここまで手の込んだ事件は珍しい」としている。

 事件は昨年4~9月にかけ4件が相次ぎ、20~30代の男女5人が立件された。起訴状などによると、グループは計4人の男性から400万円近くを脅し取ったとされる。

 起訴された被告の裁判や捜査関係者によると、グループは、計画を立てる指示役、自転車で被害者の車にぶつかる当たり屋役、交渉窓口となる示談役などで構成されていた。女性を装った指示役の男がマッチングアプリを通じ、被害者の男性を誘い出していた可能性もあるという。

 実際に男性と会っていた女は2人。男性を事故現場に誘導し、逃げられないように追い込む役割を担っていたという。女が男性とラブホテルに入り飲酒し、「家に薬を忘れたから取りに行きたい」と、飲酒運転を仕向けるケースもあったとされる。

 いずれの事件でも、女は隙を見て男性の車のナンバーや車種を当たり屋役に伝えたという。交通量が少ない路地で、当たり屋役が自転車ごと被害者の車に衝突していた。

 起訴状などによると、示談役の男は「飲酒運転だよね。免許がなくなる」「示談金を支払うなら警察は呼ばない」「裁判になれば罰金100万円以上」などと、追い詰めたとされる。男性が警察に通報しそうになると女が「私も逮捕されちゃうからやめて」と頼み込むのだという。一部の事件では「他言無用」と念押しした示談書も見つかった。

 捜査関係者は、一連の事件について「恋愛感情と飲酒事故の弱みにつけ込んでいる」と批判している。