人影がまばらで、飲食店の屋外テーブル席にも客がいないオリオン通り=12日午後5時15分、宇都宮市江野町

 栃木県内で新型コロナウイルス感染の急激な拡大が続き、県が緊急事態宣言の対象地域に本県を追加するよう国に要請した12日、県内には不安と期待が渦巻いた。「もっと早くに要請すべきだった」「県民の危機意識が高まるきっかけになれば」。飲食業界はさらなる我慢を覚悟し、福祉施設は抑止効果に希望を託す。1日も早い収束に向け、県民生活は再び重大な局面を迎える。

 12日夜、宇都宮市中心部。市独自の緊急事態宣言や県による営業時間の短縮要請を受け、新年会シーズンというのに人通りはまばらだ。国の宣言が再発令されれば、時短要請は県内全域に波及する可能性がある。

 大田原市中央1丁目の「日本料理 志ぶ家」の担当者は「1都3県に(宣言が)出た時、関東全域に発令された方が良かったと感じた」という。客数は例年に比べ10分の1ほど。予約キャンセルも連日出るなど厳しい状況が続く。

 「国難なので、政府や県の方針に従う」と要請があれば時短営業に応じる考え。一方で国が検討する、協力しない飲食店の店名公表については「良くないと思う。店や人にはそれぞれ事情があるから」と強調した。

 ベルモール(宇都宮市陽東6丁目)の津布久勇治(つぶくゆうじ)支配人も推移を注視する。県内の累計感染者が1千人を超えた昨年12月下旬ごろから夜間の客数がぐっと減っており、「この状況では、例えば酒類を提供する店舗以外への時短要請が来ても(応じるのは)やむを得ない」と打ち明けた。

 「県民一人一人が感染症の怖さを理解し、危機意識を高めるきっかけになれば」。県老人福祉施設協議会の大山知子(おおやまともこ)会長は、国の宣言再発令に期待する。

 重症化しやすい高齢の入所者と日夜向き合う仕事。職員は会食や外出を控え、「絶対に施設内で感染者を出さない」と使命感を抱く。一方で、県内では会食などが原因とみられる感染拡大が後を絶たないとされ、「県民の危機意識には温度差がある」と痛感している。

 高校3年の長女を持つ小山市、臨時職員男性(63)は「感染が広がった中で今、緊急事態宣言を発令されても収まるのだろうか」と疑問視する。

 本格化する受験シーズン。「試験会場には人がたくさん集まるし、東京などへ試験を受けに行って感染したら怖い」と打ち明ける。「大事なのは命。もっと早く要請していれば、状況が少しは違っていたのではと思ってしまう」と話した。