「玄冬」は古代中国の哲理、陰陽五行説による冬の異称で、「玄」は黒を意味する。今、首都圏では黒い服を着ている人が多い。女性向けのファッションサイトには「今季トレンドの黒」といった言葉が並ぶ▼色は時代を映す鏡といわれる。日本流行色協会(東京都千代田区)の資料によると、1979年の第2次オイルショックや90年代のバブル崩壊の後には黒やグレーなどがはやった▼同協会が昨年末インターネット上のアンケートで選んだ「2020年の色」も新型コロナウイルス禍の不安な気持ちを象徴する黒系のグレーだった。黒の流行はコロナの感染拡大という暗い世相の反映なのだろうか▼同協会の大野礼子さんは「流行は2年くらい前から。今まであったベーシックな色やものを見直そうという時代の風潮の表れだとすれば、コロナもひとつのきっかけかもしれない」と分析した▼ファッションとしての黒はシックで、汚れが目立たず、長く着られて経済性は高い。防寒用の羽毛ジャケットやコートも黒が多い。黒の流行をあまり悲観的に考える必要はなさそうだ▼コロナの感染拡大で、日本列島全体を重苦しい空気が包む。五行説で春は「青春」。青空の下、桜が咲くころには、国民の地道な努力やワクチン接種、気温の上昇でコロナが収束に向かうよう願ってやまない。