自然災害の被災地で何らかの手助けをしたいと、全国からボランティアが駆け付けるようになって久しい。災害の少なさが自慢だった本県も2019年秋に台風19号に見舞われ、広域にわたり支援を受けた▼住民や土地勘のないボランティアにとって頼みの綱となるのが、市町の社会福祉協議会が立ち上げる災害ボランティアセンターだ。ニーズを収集し、人員を振り向ける▼19号に伴い県内では10市町にできたが、うち5市町は初めての設置。多くは運営だけで手いっぱいだったことだろう。15年の関東・東北豪雨の際も開設した実績がある鹿沼市社協は、19号の体験を踏まえ昨年末、活動マニュアルを改訂した▼追加したのが「被災者に寄り添う」視点。水害の活動といえば、家屋に入り込んだ泥のかき出しや家財道具の運び出しといった「作業」が思い浮かぶ▼もちろん生活再建に欠かせないが、被災者の話を聞き、いたわる言葉を掛けることも大切と位置付けた。住民は同じ被害に遭った周囲に、つらい気持ちを打ち明けにくい。「耳を傾けることが『心のケア』になる」と同市社協の斎藤裕嗣(さいとうひろし)さん(45)▼「活動によって住民が元気を取り戻し、次に進むきっかけになれば」。こうした視点が他市町にも広がるといい。経験を重ね、ボランティアやセンターは着実に進化している。