新成人に返却する振り袖の準備をするスタッフ=8日夜、宇都宮市

 新型コロナウイルスの感染者急増に伴い、県内市町の大半で成人式が中止や延期となったことを受け、着物店や美容室などが対応に追われている。着付け予約のキャンセルが相次ぐ一方、延期となった市町内にある店舗では振り袖を秋の開催予定日まで取り置く動きも見られる。式典が中止となる中、「成人式は一生に一度」と、記念写真撮影の予約のキャンセルがほぼない写真館も出ている。

 ビューティアトリエグループとして理美容室などを展開する総美(宇都宮市)では、宇都宮市内8店舗でヘアメークと着付けの予約が220件近く入っていた。10日の成人式について同市が延期を決定すると、店側は予約者全員に電話で連絡した。延期日への予約変更のほか、キャンセルもあり、当日の対応は約30件に減った。

 預かった振り袖を返却する作業に追われる中、「こんなに悲しいとは。いつか成人式をさせてあげたい」と涙ぐむスタッフの姿もあった。

 式典が中止となった日光市の着物のレンタル、販売店では予約の3分の2がキャンセルになった。通常は2週間前からキャンセル料が発生するが、「かわいそうで、新成人の負担がないようにしたい」と担当者は打ち明ける。11月に延期された栃木市の呉服店では、追加料金なしで着物を延期日まで取り置くことにした。

 中止となった佐野市の篠崎衣裳(いしょう)店では、着付け予約のキャンセルは1~2割ほど。ただ、同店は「新成人をお祝いしたい」と、同市から成人式当日に設置予定だった立て看板を借り、式典会場だった同市文化会館に設置することにした。篠崎(しのざき)れい子(こ)専務は「看板をバックに写真だけでも撮ってもらいたい」と口にした。

 一方、キャンセルがほぼない店もある。日光市の写真館では数十件の撮影予約のうち、キャンセルは1件のみ。逆に2件がキャンセル待ちの状態という。

 写真館側は「一生に一度の成人式。写真として形に残したいと思うのが親心では」と推し量る。店にとっては年に1度の書き入れ時で、客への感謝の気持ちも募っており、「できる限りのサービスでご恩に報いたい」と当日の撮影に臨む。