午後8時となり、店じまいのため、のれんを片付ける従業員=8日午後8時5分、宇都宮市二荒町

 宇都宮市内の酒類を提供する飲食店に対し、県が要請した営業時間の短縮期間が始まった8日、新年会で活況のはずの繁華街は再びにぎわいが消えた。「苦しいが従わざるを得ない」「協力金だけじゃ店が持たない」。多くの店が午後8時までの時短営業に応じる一方、通常営業や自主休業を決めた店もあり、対応は分かれた。コロナ禍に翻弄(ほんろう)され、不安や諦めが色濃くにじむ夜の街を歩いた。

 午後8時すぎ。店のシャッターが下り、街から明かりが消えていく。

 バンバ通りの老舗すし屋「逢初(あいそめ)寿し」も時短要請に応じた店の一つだ。のれんを下ろし片付けが始まったのは、かき入れの時間帯。3代目の大曲(おおまがり)めぐみさん(57)は「年末年始の繁忙期なのに…」と複雑な表情を浮かべた。

 昨年までは、カレンダーが宴会の予約で黒く埋まっていた。しかし今年は数件にとどまった上、それすらキャンセルが相次いでいる。時短営業は正直、厳しい。それでも「感染対策のため多くの店が時短に従う。うちも協力しない訳にはいかない」と力を込める。

 一方で感染拡大は歯止めが掛からず、「先が見えないのが一番つらい」と吐露する。都内などにも常連は多い。「このままお客さまが離れてしまわないか」。不安は募るばかりだ。

 同市宮園町の居酒屋「ぴんすけ」は午後7時前に、この日最後の客を見送った。県の時短要請に応じ、これまで同11時だった閉店時間を同8時に変更。石崎陽一(いしざきよういち)店長(39)は「正直、8時まではお客さんがいると思ったが」と声を落とした。

 店先に置いていたメニューを店内へしまい、ごみをまとめる-。大忙しのはずの午後8時前には片付けや清掃が終わった。石崎店長は「経営には響くが、コロナが早く収まるためには仕方ないですね」と静かに語った。

 深夜まで通常営業を続ける店や、自主的に休業を決めた店も少なくない。東武宇都宮駅近くで居酒屋を営む40代男性は「(県の)協力金は1日当たり2万円。1日5万円なら考えたが…」と通常営業を決めた。店舗の家賃支払いなどを考えると、要請に応じるのは難しいと判断した。「もしお客さんが来なかったら、協力金をもらえば良かったと思うかな」。今も胸中は揺れる。

 先の見えない闘いに、夜の街は疲労の色が日に日に濃くなっている。