1977年から始まったテレビアニメ「あらいぐまラスカル」をきっかけに、アライグマはペットとして人気となり、原産地の北米から大量に国内に持ち込まれた▼ところが、丸々としてかわいらしい容姿に似合わず気性が荒く、飼いきれなくなって山などに捨てられ、野生化が進んだ。サンショウウオの捕食など生態系への影響が報告されるほか、全国で毎年3億円を超す農業被害が発生するなど深刻な問題となっている▼天敵が少ない上に繁殖力が強い。その分布が2019年度、とうとう県内全市町に拡大したことが県自然環境課の調査で分かった。捕獲数は過去最多の43匹。18年度(20匹)の2倍を超した▼茨城県の1119匹、埼玉県の7223匹と比べれば少ないが油断は禁物である。環境省は、地域への侵入の初期段階に発見し、徹底した防除で地域から完全に排除することが最も効果的としている▼10年前、宇都宮市内での初の捕獲事例を取材した。市東部の果樹農家男性(64)が、バナナを餌に仕掛けた箱わなに2匹掛かっていた。昨年春先にも、納屋に保管していた猫の餌が荒らされたため、わなで1匹捕獲している▼この男性は「行政や農家が危機感を持って駆除しないと大変なことになる」と訴える。まだ間に合う。手遅れとなる前に強力な対応をすべきだろう。