「ゆったりなんてもんじゃないですよ」。店長の大平豊子(おおひらとよこ)さん(71)=大田原市堀之内=は、カウンター越しにコーヒーを入れながら苦笑した。

 観光スポットの黒羽城址(じょうし)公園から数百メートルの場所にありながら、店舗は森のはずれにひっそりと構え、観光客が訪れることはまれだ。憩いの場として足を運ぶ常連が多いという。

 開店は1997年5月。夫の内装業弘之(ひろゆき)さん(74)が作業場を建てる際、「余生に夫婦でできる」と喫茶店を併設した。客の要望から仕事場は宴会場として使うようになった。

 モットーは「気持ちよく帰っていただくこと」。コーヒー(税込み400円)1杯と豊子さんとの会話を楽しみに毎日訪れる女性客がいる。ふらりと立ち寄った観光客が常連になることも少なくない。

 人気メニュー「手作りハンバーグ」(800円)はタマネギをたくさん使い、家庭的な優しい味が売りだ。付け合わせなどに使う野菜は農家のお裾分けで足りることが多いという。「客と会話してパワーをもらっている。地域に支えられ、細々とでもやらせてもらい感謝しかない」と豊子さんは思いを込めて語った。

 ◆メモ 大田原市前田1154。午前11時~午後7時。木曜定休。(問)0287・54・1009。