謎の女が運転する車がヒッチハイクする男を次々に拾う。女の正体は宇宙から来た4本脚のエイリアン。男たちは“食料”として異星に送られる-▼英作家ミッシェル・フェイバーの小説「アンダー・ザ・スキン」のあらすじだ。羊や犬のようなエイリアンが人間を家畜化して消費する逆転の構図である。現代の食肉文明への批評がうかがえる▼そもそもなぜ私たちは、家畜を殺して肉を食べ続けるのだろうか。せめて家畜の気持ちになって飼育環境を改善しようというのが「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の考え方。狭いケージに閉じ込めたり、無用な苦痛を与えたりしないよう求める▼源流はやはり英国だ。英政府の委員会は、飢えや渇き、恐怖や苦痛から家畜を解放し、行動の自由を与えるよう提唱した。この考え方は欧州を中心に普及し、国際獣疫事務局(OIE)による国際基準作りが進む▼一方、鶏卵業でケージ飼育が主流となっている日本の取り組みは遅れている。吉川貴盛元農相に現金を渡した疑惑が持たれている鶏卵会社の元代表は、基準案の緩和を政治家や官僚に要望。農水省はOIEに反論コメントを出し、止まり木や巣箱の義務化は見送られた▼「今回の疑惑の本当の被害者は鶏たちだ」と動物愛護団体の関係者。基準案の議論をやり直すよう求めている。