感謝と責任を胸に前進

 

 昭和から平成、令和へと時代が移るに連れて、墓地を取り巻く状況は大きく変化した。しかし、昨年1年間の変化は、ここ30年間の変化をはるかに凌駕する。

 「新型コロナウイルスは、日本人の死生観を大きく変化させました。葬儀や、お墓について考えたり家族で話し合う機会も増えたのではないでしょうか。これから問われるのは、人の『心』の問題です。人の内面とどう向き合うのかが問われていると感じています」。価値観が変わっても、憲法が示す「人の尊厳を守る」という根本に則り、公益法人霊園としての社会的責任を未来永劫果たさなければならない。また、自身の健康管理の重要性を再認識した一年でもあった。

 父親から経営を任されたのは、大学に通っていた20歳のとき。それから30年を経た今年、孔子が云う天から与えられた使命を悟った「知命」(50歳)の節目を迎える。大学で戦略的マーケティング学を学びながら、霊園を運営し、22歳のときに父を看取った。「苦労して霊園を築いた父が亡くなった22歳のころが今までの人生でどん底でした。道を間違えなかったのは、師匠と呼べる当家菩提寺のご住職との出会いと、生前の父が私に伝えてくれた教えのお陰です。感謝しかありません」。必死で歩んできた30年を振り返り、言葉を継いだ。「父が残した最高傑作でありたい。今、こうなりましたと報告できる自分でありたいと思います」。霊園内にある荒木家の墓には、家訓を刻んだ石碑が建てられている。大将経営者たる人の心得は「人三倍の努力、五倍の健康、十倍の根性」。遺言としての戒めの言葉を、父は50歳で記した。同じ年齢となる今年の事業の一つは、霊園が家族に変わって墓地を管理する永代供養墓の拡充。もう一つは、墓地所有者へのペット供養墓の提供。県内唯一の公益財団法人が運営する霊園として、時代の流れ、地域のニーズに即した事業を積極的に展開していく。