新型コロナ対策万全に

 

 2020年は新型コロナウイルスとの戦いの一年だった。

 3月と9月の2回、通院する透析患者から新型コロナの感染者が判明した。7月は職員の感染も明らかになった。対策には細心の注意を払っていたが、感染拡大の先行きが不透明だった3月の感染判明時は周囲からのバッシングも強かった。自身だけではなく、職員の疲弊も著しかった。

 それでも「患者や職員を守るため、へこたれてはいけない」と前を向き続けた。

 「消毒の徹底」と「感染リスクの高い患者への対応」を掲げ、対策を強化した。院内の機器やベッドの消毒の徹底に加え、新型コロナ感染のリスクが高い患者向けの隔離病棟を新たに設けることで感染拡大の防止に努めた。信頼回復のため、SNSを通じた積極的な情報発信も続けた。職員を鼓舞するため、朝礼でも明るく声を出し続けてきた。

 取り組みのかいあって、バッシングは収まりつつある。「『新型コロナと全力で戦う』という思いでした」と力を込める。

 一時は夜間に透析を行う深夜透析や、併設する施設におけるデイケア受け入れの中断も余儀なくされたが、院内の対策強化により感染リスクが低くなったことから現在は再開している。「透析患者は健康な人に比べ免疫も低下しているため、感染による死亡率もぐんと高まります。それだけに万全な対応が不可欠です」

 本来ならば昨年は訪日外国人向けの旅行透析の強化を目指すはずだったがご破算に。そのほかの多くの計画も見直さざるをえなくなり「ゼロからの再出発です」と話す。一方でことしは新たに腹腔(ふくくう)内に腹膜透析液を入れ、一定時間後に入れ替える腹膜透析への対応も視野に入れる。

 厳しい状況で支えとなるのが患者の笑顔だ。「医療機関として、患者にとって暗闇の中の灯台のような存在であり続けたい」