「注射針の聖地」を目指す

 

 静岡県に続き、名だたる医療機器メーカーが集積する本県。ドイツに本社を置くビー・ブラウングループは、日本の細やかな技術を高く評価し、日本法人が設立された翌年の1987年、国内唯一の生産拠点として栃木工場を操業した。以来、34年、グループの重要な生産拠点としての役割を果たしている。

 世界的な局所麻酔針需要の拡大を背景に、17年に新工場を稼働させた。末梢神経ブロック針や硬膜外麻酔針など、高度な技術に裏打ちされた製品は約350種に上り、世界で使用されている局所麻酔針の約35%を製造している。 

 昨年は、本格的に取り組みを開始した直後のBCP(事業継続計画)がコロナ禍で生かされた。

 「緊急事態に直面した際、事業を継続できるためのバックアップの方策を考えること。一部部材は入らず調達に苦労したが、影響は最小限に抑えられました。一方で、日々、新型コロナウイルス感染対策の現場で奮闘されている医療従事者の方々を直接支援できる製品がないことに歯がゆさも覚えていました。今後はより一層、国内の医療現場との距離を縮めていきたい」

 今年は、念願だったR&D(研究開発)部門の国際認証の取得を目指す。「これは栃木工場でも設計、製造できるようになるということ。ドイツ本社と連携し、近い将来、より高機能な『栃木デザイン』の製品を世に送り出したい」

 契約を含めて従業員270人の大半が地元採用。「県民性なのか、こつこつ真面目に仕事をしてくれて、みんな優秀な人ばかり」と話す。それを裏付ける話がある。「栃木工場では世界で類を見ない特殊な針も製造しています。粘り強さと集中力によってミクロン単位の工程を肉眼でこなす社員もいます」と話す。

 「ニッチな注射針の世界。製品は地味ですが、製造工程はいろいろ面白いことがある。『メイドイン栃木』として注射針の聖地を目指したい」