あらたな大学の姿を求め

 

 新型コロナウイルス感染症への対応に追われた一年だった。「優れた人材の輩出というミッションを守ることが引き続き重要な課題です」

 実施した学生支援は「学生に寄り添い、誰一人も取り残さない」が基本。“学長から学生のみなさんへのお手紙”を公式ホームページに掲載し、全保護者に郵送もした。学生を孤立させないためメンタルケアを実施。新入生の対面授業に出向き、20回でほぼ全部の新入生にエールを送った。上級生が1年生数人のグループとオンラインおしゃべりサロンを開く学生ピアサポーター制度も構築し実施、新年度以降も継続する。

 経済面では地元経済界の支援で緊急奨学金の給付を行った。特徴的だったのが学長や副学長らによる学生・保護者ガイダンスを実施したこと。東北・関東・中部の15県を対象に12会場に出向き、1年生を中心とした学生・保護者に大学の方針を説明し、個別相談を受けた。「学長自らが出席し話すことで理解が得られた」と話す。今回のコロナ禍で「物理的なキャンパスがある意味」を問う必要性を再認識した。もともとオンライン環境が急速に進歩する中、実験も含めほとんどの教育がバーチャルの世界で可能になるというようになっても「一緒に“いる”ことでしか得られないものを探し、強めていかなければ」と話す。そのためにコロナ禍は教育の新しい姿・形を生み出す良いチャンスになるという。

 本年3月で学長の任期を満了する。就任以来、将来を見据えて次々と教育システムを改革。地域デザイン科学部や共同教育学部の新設、工学部を基盤工学科の一学科に改組。全大学院修士課程を地域創生科学研究科に統一し、それらの仕上げとして、新年度は博士課程も統一する。「専門性だけでなく、幅広い思考力や俯瞰的にものを見られる力を養っていこうということです。最初に思い描いていたことはだいたいやれたかな。ここでの仕事に悔いはありません」と微笑む。