人を生かし風を起こす

 

 トラクターやコンバインなどの農機具を中心としたリサイクル事業のほか、自社農場で70種類近い野菜を栽培している。昨年、会社名に「アグリ(農業)」を加えて農機具部門の名称を「飛行船アグリ」としたのは「これからも農機具の販売や野菜作りに力を注ぐことで、日本の農業をしっかり守っていく」という決意表明でもある。

 農機具部門では、20~30年前に国内で製造された農機を全国の農家から仕入れ、修理・整備を施した上で北海道から沖縄まで全国の農家に販売している。2019年には鹿沼店の近くにコンバインを多くそろえた「第2展示場」を新設。例えばトラクター、田植え機、コンバインの3点セットが50万円から購入できる廉価さが人気を集め、コロナ禍の渦中でも取り扱いは毎月約180台に上るという。「巣ごもり期間中、本格的なコメづくりに取り組む人が増えたようで、一反(約10アール)から3反程度の田んぼで使えるコンパクトで高性能な農機具のニーズが高まっています」と説明する。

 同部門では、腕の良い10人の整備士と板金塗装の職人が多忙な毎日を送る。中には、78歳で一度退職したものの、その後また復職した81歳の男性や、難病を抱えながらも顧客から「博士」と呼ばれるほどの知識を駆使して活躍する30代の男性も。「リサイクルは農機具だけではありません。年をとっていても、病気を抱えていても、意欲があれば人は何度でもよみがえることができます」と目を細める。

 「人を生かす」のモットーは、すべての活動で一貫している。自社農場のスタッフには引きこもりや不登校の経験者が多く、野菜作りを通して彼らの社会復帰を支援している。仕事を離れても昨年から宇都宮市老人クラブ連合会の会長として高齢者の憩いの場づくりに尽力。

 「コロナ禍での最大の敵は孤独。頑張っている人たちが強い絆をもてるよう、地域から風を起こしたい」