林業は人づくり道づくり

 

 県林業木材産業課が算出した指標によると、昨年4月から10月の丸太価格は約16%下落し、丸太生産量は26%減少した。新型コロナウイルスが林業・木材生産業に与えた影響は大きい。しかし「コロナ禍で多くの人の価値観が変化した。国産材に目が向いている今こそ成長のとき。林業で地方を元気にして地方創生に寄与したい」と未来を見据える。

 林業発展のポイントは、人づくりと道づくりだ。母船に見立てた県内4カ所と群馬、新潟の大型製材工場で製材品を在庫し、周囲の製材工場がキャッチャーボートとして製材を補佐することで安定供給を実現させた独自の「母船式木(もく)流(りゅう)システム」の構築や、ヨーロッパに最も近いと評価される木材乾燥システムを導入している。さらに循環型社会構築に向けたバイオマス事業「エネルフォーレ50」の展開や、人材を育成しながら山の資産を時代に受け継ぐ「山林経営事業」など、「先人たちが植えてくれた木々を100%生かす取り組み」を推進してきた。戦後に植えられた木が優れた木材となる状態となり、環境が整った今こそ、「輸入材とがっぷり四つに組んで戦えるとき」という。

 「適度に寒い栃木県は、節が少ない高品質の木材の産地として注目されている。仕事として成り立たせるフィールドづくりが私の使命。工夫して道をつくり木を切るという達成感と、大自然の中で働く喜びがある林業は、魅力的な仕事になる」。そう語る東泉社長のもとには、トップ企業から脱サラした若者や、林業の未来に期待を抱く人材が全国から集まりつつある。

 フォレストビジネスカレッジを中心とした林業従事者の育成と、木質バイオマスエネルギーの活用により地域に産業と雇用を生むエネルフォーレ50の推進が今年の課題だ。コロナ禍ではあるが、活況なホームセンター市場への国産材の浸透を目的とした新工場の建設を着々と進めている。