原点回帰し放送充実を

 

 新型コロナウイルスの感染拡大は大きな打撃となった。「おそらく1963年の開局以来、少なくとも私が入局した85年以降では最も大変な一年だったと思います」。入局以来、営業畑を中心に役員待遇本社営業・東京担当営業局長、取締役営業局長を経て昨年6月に社長就任した。生え抜きとしては2人目となる。
 例年開催していたイベントや特別番組などがことごとく延期か中止という事態の中で、社員一丸となって難局をどうやって乗り越えるかの知恵を絞った。「結果的に、改めてラジオの役割やリスナーへの発信をじっくり考えることができました」

 日本民間放送連盟の調査によると、コロナ禍のステイホーム、巣ごもりによってラジオを聴く人が増えたという。「ラジオは身近な存在ということ。スマートフォンで聴けるラジコやスマートラジオ、弊社でも一昨年から放送を行っているワイドFMの周波数に対応するラジオやカーラジオの普及など、環境は整備されてきています。後は何を発信していくかです」

 災害時のラジオの必要性から昨年9月1日の防災の日に、茨城放送とラジオ福島との3局で災害時の支援協定などを盛り込んだ連携協定を締結した。災害で被災した場合、被災を免れた局が代替放送をする。被災しても県民に情報を届ける使命を果たす体制を強化した。平常時でもそれぞれの県の情報を紹介する共通番組を昨年11月に週1回スタートした。さらなる拡充を進める予定だ。

 全国の民間AMラジオ局が抱えている課題が、設備負担を減らすためのAM放送の廃止だ。2023年の秋にも停波のための実証実験が始まる。「クリアする課題は多いが、ラジオの在り方にもかかわるので慎重に考え、経営判断したい」。県民のために役に立つ情報を送り届ける中で「ラジオでなければできないものがある。原点回帰し、コンテンツの充実など、本来の力を付けることを追究したい」と力を込める。