地域連携で成長する大谷

 

 2011年3月11日の東日本大震災で閉館した大谷資料館。2年間の休館を経てリニューアルオープンさせた。震災から10年となる21年を前に「この10年で大谷の風景もだいぶ変わりました。街に若者が戻り、活気も戻ってきましたね」と感慨深げに語る。

 「石の里」として宇都宮を代表する観光地である大谷。柔らかく加工がしやすいため、古くから外壁や土蔵などの建材として使用されてきた。1989年2月、大谷石採取場跡地によって観光客は減り続けてきた。しかし、その流れは変わった。

 資料館のリニューアル以降、CMやドラマ、映画、ミュージシャンのプロモーションビデオなどの撮影が来場者増の呼び水になった。「なんとか大谷を再生させたいという想いだけでした。最初の3年間は特に大変でしたね」と振り返る。

 少しずつ「観光地・大谷」のイメージも定着した。ロケ地めぐりで若者が注目。荘厳な地下空間を撮影した写真を会員制交流サイト(SNS)で公開するなどして、魅力が広がっていった。周辺でも若者向けの飲食店の開店が相次ぎ、大谷石の古民家を利用したカフェの開業なども増えている。19年には歴史、伝承、有形・無形文化財を観光振興や地域活性化に役立てる文化庁の「日本遺産」に「大谷石文化」が認定されるまでになった。

 20年は新型コロナウイルス感染拡大で一時休業を余儀なくされたが、感染対策を徹底させて再開している。特に感染症対策として、AIを使って客同士の距離や「密」を検知する県の実証事業も行われた。

 「大谷スマートインターチェンジ(IC)」も22年度に開通の見通し。スマートICは東北自動車道と大谷街道が交差する地点を予定している。東北道を利用する県外からの観光客が、大谷にアクセスしやすくなる。観光やビジネスでの活性化が期待される。「人の流れが大きく変わるでしょうね」