「深化」と「探索」で未来へ

 

 創業60周年だった昨年10月、社内に「光陽ビジネススクール」を立ち上げた。各部門から8人のセカンド・トップを集め、経営学の名著「両利きの経営」をテキストに研修する。自身が積み上げてきた経営観を注ぎ込み、次世代のリーダーに引き継ぐ考えだ。「最初の30年間は創業者の父が基礎を築き、次の30年を私が社長として経営を担ってきました。今後100周年に向けて、今いる人たちに頑張ってもらわなければなりません」。原点に戻って人づくりに取り組み、厳しさが増すこれからに立ち向かいたいと気を引き締める。

 考え方の根幹にあるのは「深化」と「探索」だ。既存事業の競争力、収益力を持続的に「深化」するとともに、イノベーション領域の新しいシーズ(種)を「探索」し、そこへ投資する「両利き」の経営が必須であるとする。同社でも草創期の「送電」に「電設」が加わり、さらに「情報通信」「環境」「建築」部門へと拡大、そしてグループ会社の設立というように、あるものの「深化」と新しいものの「探索」を重ねてきた。その結果、ワンストップの総合力が強みとなっている。

 確固とした哲学に基づいた経営は、確実に実績に反映されている。宇都宮市内の主要電気工事業者の近年の売り上げでは、群を抜いてトップを走り続けている。その基盤を支えるのが各部門から出された目標を積み重ねた経営計画書だ。経営理念の実現に向けて各社員がなすべきことを丁寧に説明する。「これがしっかり守られる限り赤字はありません」

 人材育成が社会の基礎をつくるとの信念を持つ。宇都宮大学に学ぶ学生を給付型の「飯村チャレンジ奨学金」で支援。新型コロナウイルス感染症の拡大で困窮する学生に緊急支援金の給付も行った。「海外では、企業は地域社会への貢献が存在目的そのもの、との考え方が定着しています」。飢(き)饉(きん)の中でも教育に力を入れた故郷会津の思想が脈打つ。