焼きたてを一口いただくと、サクサクの薄皮とたっぷりの粒あん。そして、何だかとても懐かしい味。

 それもそのはず。このお店はかつて上野百貨店の地下にあった、たい焼き屋。私が子どもの頃、街へ出かけた親がお土産によく買ってきてくれた、あの味だ。

 2000年の暮れ、百貨店が閉店。「たくさんのお客さんがいたので、店を続けたかった」と、店主の小森明子(こもりあきこ)さん(77)は振り返る。自宅を改装し、半年後に再開した。

 和菓子職人だった夫の故・稔(みのる)さんが1964年に店を始めて以来、一つの金型で1匹ずつ焼く「一丁焼き」を続ける。数を焼くのに手間がかかる上、金型は重く、入念な手入れも必要だ。でも、皮を薄く頭から尾まであんを入れられる。「要するに愛情がこもったたい焼きなんです」と小森さん。優しい甘さのあんの味も変えていない。

 たい焼きは一つ120円(税込み)。今度は私が、実家の両親に買って行こう。この味、きっと覚えているはずだ。

 ◆メモ 宇都宮市西の宮1の15の14▽営業時間 午前10時半~完売まで▽水、土曜定休(問)028・648・6807▽店名の読みは「たいやきやいた」