「ミュージカル『テニスの王子様』」の主役・越前リョーマに扮する阿久津仁愛(©KT/S・N・STP ©KT/S・TM)

 漫画などを舞台化した「2.5次元ミュージカル」の金字塔と呼ばれ、若い女性を中心に人気が高い「ミュージカル『テニスの王子様』」。この作品で2016~20年の約4年間、主役の越前(えちぜん)リョーマ役を演じたのが、栃木県出身の阿久津仁愛(あくつにちか)(20)だ。「2.5次元俳優」として今、注目を浴びている阿久津。21年は映画やドラマにも活躍の場を広げ、「どんどん新しい自分を見せていきたい」と目を輝かせる。

 芸能界へ入るきっかけとなったのは、家族の勧めで応募した「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」。小池徹平(こいけてっぺい)や菅田将暉(すだまさき)など、逸材を発掘してきた国民的コンテストで14年に準グランプリを獲得し、芸能界へ足を踏み入れた。

 16年に「ミュージカル 『テニスの王子様』」3rdシーズンの主役に抜てき。03年から続く、人気ミュージカルの主役ということもあり、当初は「右も左も分からなかったし、周りをまねすることしかできなかった」。舞台特有の喜怒哀楽を大きく表現する方法に苦労し、「どうしても先代の先輩と自分を比べて劣っていると感じることもあった」と振り返る。

 しかし、座長として公演を重ねるごとに、いつしか不安は「この世界で越前リョーマは俺しかいない」と自信に変わっていく。胸を張ってステージに立つようになってからは、徐々に役を演じる楽しさを感じるようにもなった。「役にのめり込むと記憶をなくすことがある」と言い、「その瞬間は役が憑依している。その瞬間が演技の醍醐味(だいごみ)」と真っすぐな目で語る。

本紙のリモート取材に応じる阿久津仁愛
リモート取材中、ポーズを決める阿久津仁愛

 3rdシーズンの最後を飾る「ミュージカル『テニスの王子様』コンサート Dream Live 2020」は昨年5月に開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となり、映像配信という形になった。

 この配信でテニスの王子様から「卒業」した阿久津さんはファンに直接会えず「残念だった」と言うが、こうした状況だからこそ感じたこともある。「お客さんが見に来てくれて、会場が満席になるのは当たり前ではない」。ステージに立つありがたさを改めて肌で感じた。

 約4年間、出演してきた舞台を終えた今の心境を聞くと「寂しさもあるが、新しいジャンルに挑戦できる楽しみの方が大きい」という。21年は舞台だけでなく、映画やドラマへの出演が決まっている。「自分にはどういう役柄が合っているのか、自分がどういう役を演じると楽しいのか。探りながら、自分の在り方を見つけていきたい」。

 15歳まで住んでいた栃木。苦手な人が多い本県郷土料理の「しもつかれ」も「好きです」と言い、郷土愛をアピール。「多くの人に『栃木県の芸能人といえば阿久津仁愛』と認識してもらえるように、これからはもっと頑張っていきたいと思います」。甘いマスクから笑みがこぼれた。

「2.5次元俳優」として人気上昇中の阿久津仁愛

 ◆プロフィル 

 2000年12月23日生まれ。1人の姉、2人の妹がいる4人兄弟の長男。16年に舞台デビュー。

 ◆過去の出演作品

 舞台「ミュージカル『テニスの王子様』」3rdシーズン(2016~20年)、ドラマ「俺のスカート、どこ行った?」(19年)など。

 ◆今後の出演

 映画「ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~」(21年2月11日公開)、ネット配信ドラマ「マイルノビッチ」(同月12日配信開始)など。「ミュージカル『テニスの王子様』」3rdシーズンのキャストに密着した「ミュージカル『テニスの王子様』Dream」のブルーレイとDVDは2月5日に発売。