重症病床の稼働率

 県内の新型コロナウイルス感染者受け入れ病院の関係者が19日までに、下野新聞社の取材に応じた。ここ数週間の感染者急増に伴い、この病院では救急患者の受け入れができない非常事態に直面している。「地域医療に支障をきたし、非常に申し訳ない」と苦悩しながらも、「世界的な危機」のコロナ禍に使命感で対峙(たいじ)しているという。

 スタッフへの誹謗(ひぼう)中傷などを避けるためとして、病院名などの非公表を条件に取材に応じた関係者。「現在、新型コロナ感染者と一般患者を含めた全病床が満床。従って救急患者を受け入れられない状態だ」と明かした。

 これまで一般患者の入院を延期したり、入院患者を他に転院させたりして感染者用の病床を増やしてきた。だが、県内の感染「第3波」が広がり、救急患者用の病床まで確保できなくなった。

 県内の受け入れ病院は、中等症までの患者に対応する病院と、重症者に対処する病院がある。最大の懸念は重症者数の行方。「重症者を治療できる病院は限られている。重症者が増え、そうした病院が受け入れられなくなれば、その前段の中等症までを受け入れる病院が危機的状況になる」と話す。

 重症者の治療には多くの人員を要するため、「現在の医療体制では、重症患者用の病床全てに対応できるだけのスタッフ数を確保できないはずだ」と警鐘を鳴らす。さらに年末年始に向け「平日ほどの数のスタッフを配置するのは困難。他の病院も同じでは」とし、県内の受け入れ態勢が一時的に手薄になりかねない点を憂慮する。

 「スタッフの慣れもあり、重症化をある程度早く予測できるようになってきた」と話す一方、「非常に急激に重症化する場合があり、全く油断ならない病気」と強調。重症化リスクの高い高齢者や要介護者などの増加は病院の負荷を高め、一般診療への影響を広げることから、社会全体の感染対策を徹底し「高齢者を守らなければ」と強調する。

 高い緊張感を強いられるコロナ対応。「院内は落ち着きを取り戻してきたが、(コロナ禍は)あまりにも長く、先が見えない」と打ち明ける。この1年の間にはスタッフの離職もあったほか、家族の感染を防ぐため、ほとんど自宅に帰っていない職員もいるという。

 「ものすごい犠牲を払い、非常に大変。だが世界的な危機だから、頑張らなければならないと呼び掛け合って、皆で踏みとどまっている」と厳しい実情を吐露した。