『哲学者・作家 千葉雅也さんの両親(下))』はこちら

 気鋭の哲学者で、昨年は初めての小説「デッドライン」で野間文芸新人賞を受賞した千葉雅也(ちばまさや)さん(41)。父秀一(しゅういち)さん(66)、母みどりさん(66)に子育てについて振り返ってもらった。

風船で遊ぶ3歳頃の雅也さん

 みどりさん 雅也は小さい頃から絵を描いたり字を書いたりすることが大好きで、よく一緒にお絵描きをしていました。図鑑や百科事典を引っ張り出しては紙にウミウシや食虫植物といった変わった生き物の絵を描き、その横に名前を書き写して自分だけの図鑑を仕上げていました。私や夫にも見せてくれたので額に入れて飾っていました。

 実際に食虫植物を買ってきて、どのように昆虫を捕まえるのか、どんな風に昆虫が消化されるのか観察していたこともありました。

 また「これなあに?」と聞かれたら、家事などの手を止めてできるだけすぐ調べて答えるようにしていました。小さい頃は待つことができないですし、子どもが興味を持っているその時々を大切にしていました。

千葉雅也さん

 秀一さん 幼稚園生の頃には「試験管とビーカーがほしい」と言い出しました。当時はなかなか手に入らず知り合いを通じてなんとか買うことができ、ガラスを溶かすなど実験ごっこを楽しんでいました。

 自宅は私たち夫婦と私の両親、雅也と娘の6人暮らし。お隣は親戚だったので、にぎやかな環境で育ちました。家族で週に1度ご飯を食べに行くのが楽しみで、「店内のインテリアがおしゃれだね」「この器はきれいだね」などと話し合いながら食べていました。友達も多く、毎日のように遊びに来ていました。

 みどりさん また幼稚園生の頃からピアノを習っていました。私の友人が先生だったこともあり、気分が乗らない時も好きな曲ばかり弾かせてくれたので音楽が好きになってくれました。練習曲よりも即興で弾く方が好きで、自由に演奏していました。妹と一緒に演奏したり、作曲したりするなど、音楽に関しても好奇心旺盛でしたね。今でも、気分転換するためにピアノに触れることがあるようです。