高次脳機能障害「友の会」10年 活動は拡大、障害「気付かない」層が課題

 事故や病気の後遺症で記憶力などに障害が出る「高次脳機能障害」の当事者・家族の団体「とちぎ高次脳機能障害友の会」が発足して本年度で10年。活動は広がりを見せているが、障害に気付かず潜在化している当事者の掘り起こしは進んでいない。「見えない障害」とも言われる同障害。当事者や家族は孤立しがちで、中野和子(なかのかずこ)会長(68)=下野市下古山=は「家族だけで抱えられるほど簡単な障害ではない」と周囲の理解と当事者の早期相談を呼び掛けている。

 「思ったことを話せない」「テストの出題範囲と違う所を勉強する」。中野会長の次男靖丈(やすたけ)さん(34)は中学2年の時、日常生活で異変が目立つようになった。学校では嘲笑や叱責(しっせき)の的となり、内にこもりがちに。

 巡った病院では「性格の問題」「努力が足りない」と言われ続けた。同障害と診断されたのは20歳の時。6歳で遭った交通事故が原因だった。

 同障害は、交通事故や脳卒中などで脳が損傷し、思考や記憶、注意などの脳機能に支障を来す。身体的な症状ではないため、周囲の誤解も受けやすい。医療、福祉関係者の認知度も高いとはいえず、発達障害と誤解される当事者もいるとされる。

 同会は2007年度に発足。当初の会員は10人程度だったが、現在は約50人に増えた。毎月第2土曜日に定例会を開き、リハビリや情報交換を行っている。近年は美術作品の制作やレクリエーションなど活動内容も増え、協力してくれるボランティアの顔ぶれも多彩になってきたという。

 一方、県も10年度、とちぎリハビリテーションセンター(宇都宮市駒生町)に支援拠点を開設。啓発や研修などを行うほか、16年度は同障害関連の相談計935件を受け付けた。